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有料老人ホームが発行する書面

有料老人ホームが発行する書面

重要事項説明書や入居契約書、介護サービス等一覧表、管理規程など有料老人ホームが交付する書面について

有料老人ホームが発行する書類

前ページでは有料老人ホームが行う広告の規制について説明いたしましたが、ここでは、具体的に有料老人ホームが作成・配布する書類について、その内容について説明いたします。


重要事項説明書

有料老人ホームは、各都道府県毎に策定されている重要事項説明書のひな形を使用して、提供されるサービスの内容や料金、職員体制や入居者の状況などについて、入居を検討している高齢者の方やそのご家族の方などに書面で交付するとともに、口頭で充分に説明しなければなりません(説明者と説明を受けた方双方の署名を行うことが義務づけられています)。
【記載されている項目=有料老人ホーム設置運営標準指導指針(厚生労働省)】

  1. 事業主体概要~事業主体名と所在地・連絡先、代表者名、設立年月日、事業主体が運営する他の介護サービス
  2. 施設概要~施設名、所在地・連絡先、開設年月日、管理者名、交通経路、類型及び表示事項、特定施設の指定年月日など
  3. 従業者に関する事項~常勤・非常勤別の職員数、介護職員の資格取得状況、夜間最少時・平均時の職員数、介護職員等の業務経験年数など
  4. サービスの内容~施設の運営方針、協力医療機関の名称・協力内容、要介護時の居室の住み替え、入居の条件、契約解除の条件、体験入居の内容、入居者数・前年度退去者数、居室数・面積、共用施設、土地・建物の権利形態、苦情対応窓口、賠償責任保険の加入状況、入居者の意見を把握する体制
  5. 利用料金~入居一時金、管理費等月額の費用、各費用の算定根拠、一時金の償却、契約終了時の返還金の算定方式、保全措置の実施状況、短期解約特例、個別サービス利用料など
  6. 添付書類~介護サービス等の一覧表として、介護サービス、生活サービス、健康管理サービス、入退院時・入院中のサービスの提供の有無と費用負担

(例)
埼玉県 重要事項説明書のひな形 (2013.06現)

入居契約書

一般的に(民法では)『契約』の成立要件は『当事者間の合意』となっており、必ずしも文書が必要というわけではありませんが、有料老人ホームの入居契約は利用者(高齢者)保護や後々のトラブル防止等の観点から「文書による契約」が義務化されています。

一般的に、契約書は次のような項目が記載されています。
有料老人ホームの類型、入居可能日、入居する部屋、身元引受人の権利・義務、利用料等の費用負担の額及びこれによって提供されるサービス等の内容、利用者からの契約解除の要件及びその場合の対応、概ね90日以内の解約の場合の料金の返還に関する内容、一時金の返還金の有無、返還金の算定方式及びその支払時期等、運営懇談会の設置、利用料の変更方法及び運営懇談会を経る旨の規定  等

入居契約書は「サービスを提供する側(ホーム)」と「提供を受ける側(入居者)」の権利や義務などについて、具体的に記されたものとなっています。入居契約前に内容を熟読し、わからない点やあいまいな点などがあれば、必ず確認しておきましょう。また、後日のトラブル防止のため、確認した点などをまとめた紙などに施設長などのサインをもらっておくとよいでしょう。

(例)
埼玉県 住宅型有料老人ホーム標準入居契約書 (2013.06現)

介護サービス等一覧表、生活支援サービス等一覧表

介護サービス等一覧表(介護付有料老人ホーム)、生活支援サービス等一覧表(住宅型有料老人ホーム)は、「自立」「要支援・要介護」別に、ホームで提供される「介護サービス」「生活サービス」「健康管理サービス」「入退院および入院中のサービス」「その他のサービス」等にわけて、その提供頻度などを「料金に含む」「別途料金」の区別がわかるように一覧表にしたものです。

重要事項説明書にも添付されます。

(例)
島根県 介護サービス一覧表のひな形 (2013.06現)
島根県 生活支援サービス一覧表のひな形 (2013.06現)

管理規程等

入居契約書がホームと入居者の間の権利義務等の関係の概要をとりきめるのに対し、管理規程等は有料老人ホームの管理・運営および利用に関する詳細の取り決め部分となります。
具体的には、共用施設の利用に関する規程、居室の使用に関する規程、サービス提供に関する規程(別途必要となる料金の内容など)などがあります。

(例)
埼玉県 ホーム管理規程および各種細則のひな形 (2013.06現)

パンフレット、リーフレット

パンフレットやリーフレットは、交付等が義務付けられている書面ではなく、各有料老人ホームが入居者促進のための営業目的で使用するために自由に制作されるもののため、記載される内容・項目に決まったものはありませんが、およそ次のような項目からなります。

施設概要(住所、類型、定員、権利形態、開設日、介護に関する事項、居室の広さや設備、共用施設・設備 等)、料金案内、施設内外の写真、地図およびアクセス情報

なお、都道府県等に対して設置届をしていない期間中の広告の場合は一定の表現が出来ない、特定施設の指定を受ける前は「介護付」「ケア付き」といった表現ができない、広告に関する規制・ガイドラインの対象になる、といった規制は適用されます。

介護保険の利用についての契約書や運営規程、重要事項説明の書面

特定施設の場合、「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」第12章第四節178条、「指定介護予防サービス等の事業の人員、設備及び運営並びに指定介護予防サービス等に係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準」第11章第四節234条に次のように定められています。
※以下、括弧内は「予防」の場合

指定(介護予防)特定施設入居者生活介護事業者は、あらかじめ、入居申込者又はその家族に対し、第189条の運営規程の(第240条に規定する重要事項に関する規程の)概要、従業者の勤務の体制、利用料の額及びその改定の方法その他の入居申込者のサービスの選択に資すると認められる重要事項を記した文書を交付して説明を行い入居及び指定特定施設入居者生活介護の提供に関する契約を文書により締結しなければならない。

第189(240)条 運営規程

  1. 事業の目的及び運営の方針
  2. (介護予防)特定施設従業者の職種、員数及び職務内容
  3. 入居定員及び居室数
  4. 指定(介護予防)特定施設入居者生活介護の内容及び利用料その他の費用の額
  5. 利用者が介護居室又は一時介護室に移る場合の条件及び手続
  6. 施設の利用に当たっての留意事項
  7. 緊急時等における対応方法
  8. 非常災害対策
  9. その他運営に関する重要事項

つまり、介護付有料老人ホームは、ホームの入居に関する運営規程・重要事項説明書・契約書とは別に、介護保険利用に関する運営規程・重要事項説明書・契約書が別途必要となります。

財務諸表等、事業収支計画書

利用料の支払い方式に「一時金方式」を採用している場合、経営の安全性等を判断するための資料として、ホームは開示努力義務があります。

その他

以上の他に、各地方自治体が独自に定める書面や、社団法人全国有料老人ホーム協会加盟のホームの中のうち、終身利用権方式を採用している有料老人ホームが加入を義務づけられている「入居者基金制度」に関する書面(有料老人ホーム入居契約追加特約書、保証約款確認書)などがあります。

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