2011年(平成23)年、介護サービス基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律が成立・公布・一部施行(介護療養病床の転換期限の延長、介護福祉士資格取得方法の見直しの延期等)し、2012年(平成24)年4月全面施行となりました。
【法改正の趣旨・目的】
介護保険制度施行後10年が経過し、サービスの利用者数が施行当初の約3倍となるなど、高齢者の暮らしを支える制度として定着してきました。その一方、今後の急速な高齢化の進行に伴い、医療ニーズの高い高齢者や重度の要介護者の増加、単身・高齢者のみ世帯の増加への対応、介護人材の確保等が喫緊の課題となっています。
このような中で、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができるよ うにするためには、医療、介護、予防、住まい、生活支援サービスを切れ目なく提供する「地域包括ケアシステム」の構築が必要となるため、24時間対応の定期巡回・随時対応型訪問介護看護等の新たなサービス の創設、介護福祉士や研修を受けた介護職員によるたんの吸引等の実施、介護療養型 医療施設の転換期限の延長、保険料率の増加の抑制のための財政安定化基金の取崩し、介護福祉士の資格取得方法の見直しの延期、有料老人ホーム等における利用者保護規定の創設、市民後見人の育成の推進等の所要の改正を行うこととした。
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/dl/177-6a.pdfより
- 医療と介護の連携の強化等
- 医療、介護、予防、住まい、生活支援サービスが連携した要介護者等への包括的な支援(地域包括ケア)を推進。
- 日常生活圏域ごとに地域ニーズや課題の把握を踏まえた介護保険事業計画を策定。
- 単身・重度の要介護者等に対応できるよう、地域密着サービスに「24時間対応の定期巡回・随時対応型サービス」と「複合型サービス」を創設。
- 保険者の判断による予防給付と生活支援サービスの総合的な実施を可能とする。
- 介護療養病床の廃止期限(平成24年3月末)を猶予。(新たな指定は行わない。平成30年3月末廃止予定)
- 介護人材の確保とサービスの質の向上
- 介護福祉士や一定の教育を受けた介護職員等によるたんの吸引等の実施を可能とする。
- 介護福祉士の資格取得方法の見直し(平成24年4月実施予定)を延期。
- 介護事業所における労働法規の遵守を徹底、事業所指定の欠格要件及び取消要件に労働基準法等違反者を追加。
- 公表前の調査実施の義務付け廃止など介護サービス情報公表制度の見直しを実施。
- 高齢者の住まいの整備等
- 有料老人ホーム等における前払金の返還に関する利用者保護規定(短期解約特例=3ヶ月以内の退去の場合の一時金の返還について)を追加。
- 社会医療法人による特別養護老人ホームの開設を可能とする。
- 厚生労働省と国土交通省の連携によるサービス付き高齢者向け住宅の供給を促進(高齢者住まい法の改正)
- 認知症対策の推進
- 市民後見人の育成及び活用など、市町村における高齢者の権利擁護を推進。
- 市町村の介護保険事業計画において地域の実情に応じた認知症支援策を盛り込む。
- 保険者による主体的な取組の推進
- 介護保険事業計画と医療サービス、住まいに関する計画との調和を確保。
- 地域密着型サービスについて、公募・選考による指定を可能とする。
- 保険料の上昇の緩和
- 各都道府県の財政安定化基金を取り崩し、介護保険料の軽減等に活用。