有料老人ホームが発行する書面で使われる用語について
入居要件や居住の権利形態・支払い方式など有料老人ホームが発行する書面に記載されている言葉について
有料老人ホームが発行する書面で使われる用語
有料老人ホームのパンフレットや重要事項説明書、契約書を見ていると、普段耳慣れない介護保険等に関する専門的な言葉が多数でてきます。
こうした言葉の意味があいまいなまま入居契約を行うことは将来的なトラブルに繋がる可能性があります
ここでは、こうした有料老人ホームで交付される書面やインターネットでの老人ホーム紹介サイトなどで使われている専門用語のうち、よく出てくるものについて説明いたします。
入居要件
ホーム毎に、そのホームに入居できる要件が定められています。
- 入居時自立 または 入居時自立・要支援
- 入居時自立の場合は「自立した方」、入居時自立・要支援の場合は「自立した方」「要支援1.2判定を受けた方」を対象としたホームです。この場合、将来的に介護度が高くなってこの入居要件から外れた場合、(在宅)介護サービスを利用しながら住み続けられるのか?、退去しなければならなくなるのか?確認しておく必要があります
- 入居時自立・要支援・要介護
- どなたでもご入居ていただけます(ただし、年齢等の他の条件をクリアする必要があります)
- 入居時要支援・要介護 または 入居時要介護
- 入居時要支援・要介護の場合は「要支援1以上の判定を受けた方」、入居時要介護の場合は「要介護1以上の判定を受けた方」を対象としたホームです。この場合、将来的に介護度が低くなる判定を受けてこの入居要件から外れた場合、一定の追加料金を支払う等して住み続けられるのか?、退去しなければならなくなるのか?確認しておく必要があります
- 年齢に関する制限
- 一般的には「60歳以上」「65歳以上」となっているところが大半です。一部のアクティブシニア向けの高級住宅型有料老人ホームなどでは55歳以上で入居が可能な場合もあるようです。夫婦などで一緒に入居する場合は、ご夫婦のうちいずれか一方が基準内であれば入居できる場合が大半です。
※40歳以上の特定疾病によって介護認定を受けた方は60歳未満でも入居できる場合があります。
- 住所に関する制限
- 地域密着型の有料老人ホームの場合、そのホームがある市町村に住民票を有する方のみしか利用できません。また、同じ地域密着型のホームでも市町村によって「住民票を移せば他市町村に居住していた方も利用可能」「当該市町村の住民になってから○か月(3か月程度)経過しないと利用できない」といった差があります。
- 身元保証人、身元引受人、連帯保証人など
- 有料老人ホーム入居に際して、多くの場合通常「身元引受人」等の名称で月額利用料等の債務保証、死亡時の身元引受け等の役割をする方が必要となります。親族がいない等の理由で中々この身元引受人がみつからない方向けにNPO法人など法律事務所などと連携する等して身元引受けサービスを行なっているところもあります。
介護居室
入居者が介護を受ける部屋がどうなっているか?です。
- 個室介護
- 介護が必要になった場合に、介護居室(一時介護室)に移動せずに自室で介護サービスの提供を受けます。
- 全室個室
- 介護居室(介護を受けるための専用の室)がすべて個室になっています。
- 相部屋あり
- 介護居室(介護を受けるための専用の居室)が、個室以外の多床室(2~4人部屋程度が多い)になっています。この場合、何人部屋かの表示が併記されます。
- 有料老人ホームにおける「個室」について
- 厚生労働省のガイドラインにより、有料老人ホームの居室の広さは個室13㎡以上、相部屋1人あたり9㎡以上となっています。また、この個室は1つの部屋を可動式の壁やふすま等によって間仕切りしたものは該当せず、固定された「壁(建築基準法第30条の「界壁」)」により仕切られた1つの部屋を指します。
- 「一時介護室」について
- 「一時介護室」は、(病気等により)利用者を一時的に移して介護を行うための部屋です。居室がすべて個室の場合は、この一時介護室を設置する必要はありません。
介護にかかわる職員体制
一般型特定施設において、要介護者に対する介護職・看護職のスタッフの人数割合のことで、最低基準は「3:1以上(要介護者3名に対してスタッフ1名以上)」となっています。この「3」という数字が小さいほど(2:1や1.5:1など)入居者に対して手厚いスタッフ体制を敷いているホームとなっており、より手厚いサポートが受けられますが、3:1の基準を超える部分の人件費は利用者の全額負担となるため、利用料は割高になる傾向があります。
- 書面を作成した時点の職員体制ということではなく、現在および将来にわたって、その人員体制を維持させる、というものです。なお、この数字は、スタッフの急な離職等による影響もあるため、年度ごとの平均値でクリアすればよいものとなっています。
- 「1.5:1」、「2:1」又は「2.5:1」の(基準を超える)表示を行おうとする有料老人ホームは、年度ごとに職員の割合を算定し、表示と実態の乖離がないか自ら検証するとともに、入居者等に対して算定結果及びその算定方法について説明することが必要です。
- 24時間を通して常にその人員体制になっているわけではありません。表示の体制は日中のものであり、夜間は少人数のスタッフ体制で対応となります。